【工場勤務の老後不安】ある勤続40年男性の末路

工場で働くみなさん、日々のお仕事おつかれさまです。

みなさんは自分の「老後」について考えたことがありますか?
まだ若くて独身のうちは、あまり考えないかもしれませんね。
でも家族ができて年齢を重ねると、やはり心配になってくるのではないでしょうか。

私自身も子供が大きくなるにつれて、自分の老後生活について想像し、考えることが多くなりました。

今回は私の身近にいた、ある男性工場ワーカーがどのような老後を迎えたのか、お話ししようと思います。

この記事が皆さんに少しでも役立ったら幸いです。

この記事を書いた人
めがね課長

食品工場(大手関連会社)オペレーター歴18年。
現在も課長職として働く高卒・工場ワーカー。
過去に記者、IT関連営業など10を超える職種を経験。
現在は副業でブログ運営、Webライターとして活動しながら、定年後の”独立”をめざしています。

目次

勤続40年のベテラン元社員

田中一郎さん(仮名・75歳)が工場に入社したのは30代半ば。
正社員として60歳で定年を迎え、65歳まで契約社員、65歳からは週3~4日勤務のパートアルバイトとして40年間働いてきました。

独身で子供はおらず、彼女と二人暮らし。
給料は手取りでおよそ25万~30万円といったところで、賞与は年2回。それぞれ手取りで約1か月分が支給されていました。

中小企業のため手厚い福利厚生はありませんでしたが、二人で暮らしていく分には特に問題はありませんでした。

また、定年時にはおよそ2000万円の退職金も受け取っています。

70歳を過ぎて体調に異変が・・

65歳を過ぎると、同僚の多くがリタイヤしていきます。
しかし田中さんは「仕事をしていないとボケてしまうから、俺は辞めない」そう話し、働き続けていました。

そんな田中さんに異変が現れます。
70歳を過ぎてから突然、体が思うように動かなくなってしまったのです。

腕が上がらず、階段の上り下りもしんどくなりました。もちろん、重い物を持つこともままなりません。

会社や職場の同僚も気を使い、できる限り負担の少ない仕事を任せました。
しかし、いっこうに体調は回復せず、40年間、ほとんど欠勤のなかった田中さんが休みがちになります。

それでも退職するつもりのなかった田中さんは、8時~17時ではなく、「半日勤務」を会社に申し出て了承されました。

75歳で会社から「雇い止め」

なんとか週3日、半日勤務で75歳を迎えた田中さんですが、ついに会社から「雇い止め」が通告されます。

やはり半日勤務では、午後からの人員確保が必要となり、午前中に余剰人員が出ることになります。
また、会社としては新たに正社員を入れたいという考えもあったようです。

一時は「もう潮時かな・・」と漏らしていた田中さんでしたが、その後、体調がわずかに回復したこともあり、まだ働くつもりでいました。

そんな状況での会社からの雇い止め通知に、納得できない様子で会社を去っていきました。

体調を崩してからの田中さんは、顔を合わせるたびに
「年金だけじゃ食べていけないよ」
「貯金しといた方がいいよ」
そう言っていました。

そして、その言葉が、私がこの記事を書こうと決めたきっかけとなりました。

待ち受けていた厳しい「老後生活」

不本意な形でリタイヤすることになった田中さんですが、待ち受けていたのはやはり厳しい生活でした。
収入は年金のみとなり、生活水準を下げざるを得ません。

支出の中でも大きな割合を占めるのは「家賃」です。
持ち家でローンを完済している場合、家賃負担はゼロです。しかし賃貸に住んでいる場合は避けることができません。

これまでは仕事で、家賃の足しになるほどの収入があったにもかかわらず、それが失われて年金のみとなってしまったのですから、かなり厳しい状況です。

また、以前は出掛けられていた「外食」も控えざるを得ません。
もちろん、娯楽費を捻出しようにも余裕がありません。

これが日本における「老後貧乏」の実態なのです。

75歳まで働かざるを得なかった理由

田中さんは「仕事をしていないとボケる」という考えを持っていましたが、結果として健康面の問題により75歳でリタイヤしました。
「ボケる」という考え方は否定できるものではなく、75歳を超えても元気に働けるならば、それに越したことはありません。

一方で、「健康寿命を考えたら、75歳まで働きたくない」という考え方もあります。

健康寿命とは、「日常生活を支障なく自立して送ることができる期間」のことを指します。
単に生きている年数(平均寿命)ではなく、介護や病気の影響を受けずに健康で生活できる期間を示しています。

日本人男性の平均健康寿命は、2022年時点で72.57歳と報告されています。 ​
同年の男性の平均寿命は81.05歳であり、平均寿命と健康寿命の差は8.49年です。

統計的に見ると、75歳という年齢は健康寿命を超えており、身体的に不自由な生活を強いられる期間に相当します。

もちろん個人差はありますが、65歳から10年に満たない、健康でいられる期間を自由に楽しみたい、そう考える人も多く存在します。

ではなぜ、田中さんは75歳になり体調が悪くても働かざるを得なかったのでしょうか?

①わずかな貯金

田中さんの例を見て「退職金とか、貯金はなかったの?」そう感じた人も多いでしょう。
そのとおりで、田中さんにはわずかな貯蓄しかありませんでした。

平均年収は少なくとも500万円はあったはずであり、未婚、子供なし、住宅ローンも抱えていませんでした。
退職金も、十分とはいえないまでも受け取っています。

にもかかわらず、田中さんが貯金できなかった理由は、その「趣味」にあります。

②唯一の趣味は「パチンコ」

そう、パチンコです。
平日、休日を問わず、時間があれば銀玉を弾きに通っていたといいます。

バブル期の、ギャンブル性の高いパチンコで大金を稼いだ記憶が残っていたのでしょう。
「もう来るはず」「そろそろ当たるだろう」そう思いズルズルとお金を注ぎ込んでしまったのです。

さらに、彼女さんも田中さん以上のパチンコ好き。
こうなるとなかなか歯止めは効きません。

元パチンコ店員の私がいうのもなんですが、パチンコにハマってしまっては貯金などできません。

③年金を満額もらえず

田中さんは30代半ばで工場に正社員で入社しましたが、それ以前は個人事業主として働いていました。

会社員と公務員は国民年金に加えて厚生年金も受け取ることができますが、個人事業主は厚生年金は受け取れず、別の制度を利用する必要があります。

しかし田中さんは正社員になる以前、年金対策を十分にとっていなかったため、十分な年金を受け取れていません。

それまでの年収にもよりますが、たとえ満額を受け取れたとしても、それだけで生活していくのは楽ではありません。
さらに金額が低いとなると、生活が厳しくなるのは明らかです。

ちなみに平均年金受給額は、加入していた年金制度や勤続年数によって異なりますが、一般的なケースとしては以下の通りです。

国民年金

  • 国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する基礎的な年金制度です。
  • 平均受給月額: 約55,000円
  • 男性: 約58,800円
  • 女性: 約52,700円
  • 国民年金のみでは生活費を賄うのが難しいため、多くの人は他の制度や貯蓄を併用しています。

厚生年金

  • 厚生年金は、主に会社員や公務員が加入する制度で、国民年金に上乗せされます。
  • 平均受給月額: 約145,000円
  • 男性: 約166,600円
  • 女性: 約107,200円
  • 厚生年金は給与に応じた保険料を支払うため、収入が多いほど受給額も増加します。

その他のポイント

  • 年金受給額は、加入期間や支払った保険料によって大きく異なります。
  • 自営業者やフリーランスなどで厚生年金に加入できない場合、国民年金基金やiDeCo(個人型確定拠出年金)を利用して上乗せすることが推奨されています。

情報格差

田中さんが老後の備えをしっかりとできなかった理由として、個人的には「情報が入手できなかった」こともあるように感じます。

現在はインターネットが普及し、誰もが自分で様々な情報を手に入れることができます。
老後への必要な備えも、望めばほぼ知ることができるでしょう。

しかし田中さんに限らず、特に昭和40年代以前に生まれた人の多くは、ネットで情報を得るという事に慣れておらず、テレビで見る情報だけで満足している傾向にあります。

TVニュースで遠い海外の出来事を知っても、また芸能人のスキャンダルに詳しくても、肝心の我々の「生活」が良くなることはありません。

本当に大切な「お金」のことは身近に教えてくれる人がいるか、もしくは自分から取りにいかなくては知り得ないのです。

幸い、この記事を読んでいる人は少なくとも、自身の老後に危機感を覚えて、情報を主体的に入手しようとしている方々です。

最後に、その不安を少しでも解消する方法を以下でお話しします。

「老後貧乏」にならないために

①貯蓄する

老後の不安解消の第一歩はやはり「貯蓄」です。

私自身もそうでしたが、子供が独り立ちするまでは、なかなか貯蓄も難しいですよね。
しかし、無理のない範囲で、少しずつでも貯金する習慣を身につければ、50代、60代になったときに必ず「やってて良かった」と思うでしょう。

ギャンブルは時間とお金の最大のムダ

私自身も子供を持つまではスロットにハマっていました。
今考えると、どれだけの時間とお金を捨てたのかと、後悔しかありません。

会社でパチンコで勝った、負けたという話を聞くと「気の毒に・・」と感じます。
独身で今後も結婚する予定がない人はまだしも、家族がいるならばパチンコからは絶対に足を洗うべきです。

②副業を見つける

本業が終わればクタクタ、休日もゆっくり過ごしたい。
その気持ちはよく分かります。

しかし、現在の本業収入が途切れたら、あなたはどうしますか?
田中さんはまだ働きたい気持ちがあったにもかかわらず、体調の問題によって会社から解雇されました。

もしも田中さんに「別の稼ぎ口」があれば、それほど焦らずに済んだことでしょう。

「雇われる側」には、つねに「クビになるリスク」が伴います。
しかし自分ひとりでできる、「小さな副業」を見つけておけば、精神的にも安定していられます。

まずは「稼げる可能性」を探るために、10円でも100円でも自分で稼ぐ方法を探しましょう。
興味のある方は以下の記事を読んでみてください。

③健康管理

75歳まで働くにせよ、早期リタイヤして自由を謳歌するにせよ、もっとも大切なのは「健康であること」です。

若いうちは気になりませんが、40代、50代ともなると疲れがなかなか取れず、体がだるくなるなど不調を来しがちになります。

運動不足の自覚がある人はウォーキングや軽い運動を、普段、体を動かしている人も筋肉のストレッチをすることで健康維持につながります。

また、良質の睡眠をしっかりとることも重要。
周りを見ても、睡眠不足の人はほぼ例外なく仕事の効率が悪く、ミスも頻発します。

さらに大切なのは食事管理。
特に炭水化物の摂りすぎは肥満につながるほか、眠くなり活動のパフォーマンスが低下しがちです。

私は昼食の「白飯」を減らしたことで体重が減り、午後の仕事中に睡魔に襲われることもほぼなくなりました。

④知識の獲得、学び

現代は「情報戦」です。
知らないと損をして、知っている人だけが得をする、そんな世の中になっています。

田中さんも老後に向けた準備の知識を自分で調べたり、身近に教えてくれる人がいれば、お金で苦労することはなかったかもしれません。

年金ひとつとっても、政府は事細かに、個人に対して「ここはこうした方がいいですよ」と教えてはくれません。

いまは調べれば答えがほぼ分かる便利な世の中です。
インターネットを駆使して、みずから積極的に情報を獲得し、学んでいきましょう。

まずは「年金定期便」をチェック

年金定期便とは、日本の公的年金制度において、日本年金機構が毎年誕生月に送付する通知書。
これは、加入者がこれまでの年金記録や将来受け取る年金額の見込みを確認できる重要な書類です。

年金定期便の内容

送付される年齢によって内容が異なります。

  1. 35歳・45歳・59歳の方
    • 詳細版(はがきではなく封書で送付)
    • これまでの加入実績と、将来の年金見込み額の詳細が記載される
  2. 上記以外の年齢の方(20~34歳、36~44歳、46~58歳)
    • はがき形式のシンプルな内容
    • これまでの加入実績(加入期間や納付額)などが記載される

主な記載内容

  • これまでの年金加入期間(国民年金・厚生年金の合計期間)
  • これまでの保険料納付額
  • 将来の年金見込み額(対象年齢のみ)
  • 直近1年間の保険料納付状況

確認のポイント

  • 記録に誤りがないかチェック(未納期間や漏れがないか)
  • 年金の見込み額を把握し、老後の資金計画を考える
  • 不明点があれば「ねんきんダイヤル」や「年金事務所」に相談

年金定期便は、将来の年金受給に関わる大切な情報なので、毎年しっかり確認しましょう。

なお、「ねんきんネット」という日本年金機構のオンラインサービスを利用すれば、年金定期便と同じ内容をインターネットで確認できます。

⑤資産運用を検討する

最後に、老後貧乏にならないための選択肢として「資産運用」が挙げられます。

資産運用と聞いて「自分には運用できる資産なんてないよ」という人も「NISA」「新NISA」という言葉は聞いたことがあるかもしれません。

「NISA」「新NISA」とは?

NISA(少額投資非課税制度)は、投資で得た利益が非課税になる制度です。
従来のNISAには「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」がありましたが、2024年から「新NISA」に一本化されました。

新NISAでは、非課税投資枠が拡大し、生涯非課税投資枠は1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)に増額されました。
また、年間の非課税投資枠も360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)と拡充され、従来のNISAよりも長期的な資産形成がしやすくなっています。

さらに、従来のNISAでは非課税期間が決まっていましたが、新NISAでは無期限となり、長期間にわたる運用が可能です。
投資枠は毎年リセットされ、売却するとその分の投資枠が復活するため、より柔軟な運用ができます。

これにより、新NISAは初心者から経験者まで幅広い層に適した制度となり、将来の資産形成を効率的に進める手段として注目されています。

少額から始められる

新NISAは少額から投資可能で、100円程度からスタートできます。

最低投資額の目安

  • 投資信託100円~(証券会社によるが、多くは100円単位)
  • 株式(成長投資枠)1株単位~(以前の100株単位ではなく、1株から買える「単元未満株」対応の証券会社もあり)

無理なく始められる

つみたて投資枠なら、100円や1,000円など少額でコツコツ積立可能
ポイント投資対応の証券会社もあり、現金ゼロでポイントだけで投資もできる
毎月一定額を自動積立できるので、初心者でも始めやすい

つまり、新NISAは「大きな資金がなくてもOK」で、手軽に投資を始められる制度。
今後の人生の選択肢に加えてもいいかもしれません。

「工場勤務=老後貧乏」ではない

最後まで読んでいただきありがとうございます。

田中さんの例を見て「工場ワーカーに待っているのは厳しい老後だけ」
そう考えるのは早計です。

もちろん、工場勤務者でも充実した老後を過ごしている方はたくさんいます。

不安に感じている人は今、この瞬間から自身の生活を見直し、改善の行動をとれば、将来は必ず良い方向へと向かいます。

  • 老後収入のシミュレーション(年金+α)
  • ムダなお金の使い方をしていないか?(家計管理)
  • ムダな時間を過ごしていないか?(時間管理)
  • 会社以外に自分で稼ぐ方法はないか?(好き、得意を活かす)
  • 不健康な生活習慣の見直し(食事、健康管理)
  • 資産運用の検討(無理のない範囲で)

とかく単調、、マンネリに陥りやすい工場勤務。
少しずつ行動して生活に張りを取り戻せば、退屈な仕事への向き合い方も変わってくるかもしれませんね。

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