さまざまな事情により「最終学歴が高卒」「フリーター」の場合、正社員として安定した会社に就職するのは簡単ではありません。
特に社会経験、スキルを持たない20代の高卒者は、自分に合った会社を見つけるのに苦労します。
高卒である私も、正社員として長く働ける現在の職場にたどり着くまでに、アルバイトや派遣社員も含めて10回以上、転職してきました。
この記事では、私の経験から20代・高卒フリーターが正社員として安定した会社を見つけるために踏むべき「5ステップ」をアドバイスします。
高卒・フリーターからの正社員就職に悩む人の参考になれば幸いです。
食品工場(大手関連会社)オペレーター歴18年。
現在も課長職として働く高卒・工場ワーカー。
過去に記者、IT関連営業など10を超える職種を経験。
現在は副業でブログ運営、Webライターとして活動しながら、定年後の”独立”をめざしています。
20代・高卒フリーターが正社員をめざすべき理由
あなたはなぜ、正社員になりたいのでしょうか?
雇用形態には正社員の他に契約社員、パートタイマー、アルバイト、派遣社員などがあります。
- 正社員=労働契約に期間の定めがなく、就業規則に明記されている所定労働時間がフルタイムの直接雇用の社員
- 契約社員=労働契約に期間の定めがある
- パートタイマー=おもに主婦や定年退職後の人などを対象に、短時間勤務と業務内容を設定しているのが一般的
- アルバイト=主として学生やフリーターなど、時間的に都合がつきやすい層を対象としている企業が多い
- 派遣社員=勤務する企業の直接雇用ではなく、派遣元企業(派遣会社)と雇用契約を締結し、派遣先企業で業務を行います
正社員として働くメリット
上記の雇用形態にはそれぞれ企業側、働く側ともにメリット、デメリットがあります。
正社員のおもなメリットは次のとおりです。
- 安定した収入: 正社員は、毎月一定の収入が保証されています。また、賞与や退職金などの手当が支給されることが多いです。
- 裁量の大きい仕事: 正社員は、任される仕事の責任や領域、裁量が大きいことが特徴です。そのため、キャリアアップや昇進のチャンスにも恵まれやすい点があります。
- 福利厚生が充実: 会社独自に定める交通費や住宅手当、健康診断補助、保養施設提供、旅行補助、資産形成補助など、さまざまな福利厚生があります。
また、従業員の定着を目的として、「出産立ち会い制度」や「親孝行支援制度」などの独自性の高い福利厚生を導入している企業も増えています。 - 社会的信用度が高い: 正社員であれば、外部の会社と取引をする際に、一個人の前に「○○会社に所属する社員」として扱われます。
- ローンやカードの審査に通りやすい: 一般的に、正社員は家や車など大きな買い物をする際に銀行などでローンを組みやすく、クレジットカードの審査も通りやすいと言われています。
このように、正社員には他の雇用形態にない多くの優位点があります。
なかでも特に大きいのはやはり、収入面でしょう。
国税庁の民間給与実態統計調査(令和3年分)によると、正社員の平均年収は508万円、非正規社員は198万円となっており、その差は歴然としています。
「ほかに打ち込みたいことがある」「家族との時間を大切にしたい」など、特別な事情がない限りは正社員を目指すべき。
高卒で就職に苦労してきた私からの助言です。
「20代・高卒フリーター」正社員への「5つのステップ」
では、高卒者が安定した正社員の仕事に就くには、どうすればよいのでしょうか。
前述したように、スキルや経験の不足が、高卒者の正社員へのハードルのひとつです。
その”弱点”を克服する方法は「スキルを学ぶ」こと。
高卒者の多くは、理由はどうあれ「学んでこなかった」ことに違いはありません。
そしてその現実は、年齢を重ねるにしたがって”後悔”を生むことになります。
- 英語(外国語)
- 簿記
- プログラミング
- Web制作
- Webデザイン
- Webライティング
- Webマーケティング
就職に役立つスキルは他にも数多くありますが、選ぶポイントは3つ。
- 「好きな」「興味ある」分野から選ぶ
- 特に好きではないが「得意」である
- 需要の高い「ポータブルスキル」かどうか
興味があって好きなことは、学びを継続するうえで大切です。
しかし、必ずしも「好き」=「得意」とは限りません。
「好き」かつ「得意」なスキルを見つけられれば、まさに「天職」ですが、多くの人はそれが見つけられずにいます。
「好き」が見つからない人は、自分の「得意」を考えてみましょう。
「友達や家族によく質問される」「ほめられたことがある」など、ささいな事でも、それがあなたの「得意」かもしれません。
「ポータブルスキル」とは、会社や業界が変わっても役立つ「持ち運べるスキル」です。
例えば、私が勤める工場では多くの機械装置がありますが、工場によって扱う機械装置は異なるため、他社に移ってもすぐに役立つスキルとはいえません。
しかし「Web制作」のスキルは業界、業種が変わっても需要があり、役立てることができます。
これから学ぶスキルは「好き」「得意」「需要」この3つをもとに選ぶとよいでしょう。
幸運にも、現在はインターネットの普及により「学ぶ環境」は整っています。
あとはあなた自身が「行動するかしないか」にかかっています。
高卒・フリーターで正社員を目指す人には、私自身の過去の反省と教訓から、次の5つのステップで「現状から抜け出す」ことをおすすめします。
なお、20代ならば未経験でも正社員に採用される可能性は十分にあるので、基本を学んだら「ステップ③」を飛ばして会社に飛び込むのもありです。
これを読んで「時間がない」と思った方、それは「言い訳」ではありませんか?
- テレビを見る時間
- YouTubeを見る時間
- SNSを見る時間
- 飲み会
- パチンコをやる時間
私は5年ほど前まで、これらに多くの時間を費やしていました。
YouTube、SNSは今でも断ち切れずにいます。でも「テレビ」「飲み会」「パチンコ」の時間はきっぱりと捨てました。
私は気づくのが遅すぎましたが、20代であれば、学歴のハンデを克服するのは十分に可能です。
若いうちは「遊びたい」気持ちもよく理解できます。
しかし、これからの長い人生を考えた時に、「役立つスキルを磨く時間」よりも大切な時間があるでしょうか?
高卒であればなおさらです。
「人生、詰むかもしれない」
そう危機感を抱けば、優先すべき時間はおのずと明らかです。
まずは「学びの時間」を確保しましょう。
「時間を作る」のはスキル磨きの第一歩ですが、それだけでは以前の生活に逆戻りする可能性が高いです。
決意してせっかく作った時間も、生活の一部に「習慣」として組み込まなければ継続できません。
朝、起きて食事をする。歯を磨く。昼食をとる。夕飯を食べてお風呂に入る。
私たちはこういった行動を何の疑いもなく、身についた習慣として続けています。
学びの時間も同じように、「やるのが当たり前」「やらないと気持ちが悪い」そう感じるぐらい日々の生活に取り込むことで続けることができます。
- 朝、起きたらパソコンを立ち上げる
- 仕事が終わったらまっすぐ家に帰り、パソコンに向かう
- 夕食後は読書をする
もし挫折しても、繰り返しチャレンジすれば、いずれ「人生を変えるスキル」を身につけることができるでしょう。
晴れて正社員として就職できたとしても、それで”人生安泰”というわけではありません。
ひと昔前ならば、年功序列で給料は右肩上がり、同じ会社で定年まで勤め上げるのが良しとされていました。
しかし現在は、日本型の終身雇用は終わりを告げ、私たち労働者は自分でスキルを磨き、それをバネとしてより良い会社を選んでいかなくてはなりません。
転職の好循環に乗ることができれば、年収も徐々にアップしていくことでしょう。
需要が高まる「高卒求人」
高卒者の就職活動について、日本経済新聞によると、少子高齢化で大卒者の就活は学生優位の「売り手市場」となり、高卒者を対象に採用を始める中堅企業も出てきたといいます。
令和時代の「金の卵」を巡り、初任給を大卒者と同等にする動きもあるそうですが、高卒者の求人倍率は50年ほど前の高度経済成長期、バブル経済期直後以来となる高水準となっています。
日本経済新聞
厚生労働省は、令和5年3月に高校や中学を卒業する生徒について、令和4年7月末現在の公共職業安定所(ハローワーク)求人における求人・求職状況を取りまとめました。
対象は、学校やハローワークからの職業紹介を希望した生徒です。その結果、高校生の求人倍率は3.01倍で、求人数は前年同期比16.2%増加しているといいます。
厚生労働省
正社員は簡単に”クビ”にできない
正社員として就職すると、そのメリットとともに、人によっては”矛盾”も感じることでしょう。
日本では、労働基準法をはじめとする法律によって、労働者の立場が雇用主(会社側)より弱いことを前提として、従業員側を保護する規定が多く定められています。
特に正社員を解雇する際は、解雇が認められる理由や条件が厳しく定められており、会社側としては社員側から「不当解雇」で訴えられるリスクを伴うため、解雇には慎重にならざるを得ません。
こうした現実は、私たち労働者からすればメリットも大きいのですが、弊害もあります。
- 会社が「不必要」「ダメな社員」を解雇できず、合理化が進まない
- 社員の新陳代謝が生まれず、若い社員が採用されづらい
- 「ダメ社員」が容認されることで、他の社員のやる気が落ちる
「会社の合理化」は私たちの待遇改善、給与アップにつながる場合もあり、悪いことではありません。
正社員の手厚い保護は、生産性が低く給料の高い高齢社員が増えることで、次世代のリーダーが育ちにくい面もあります。
周囲に悪影響を与える社員が居続ければ、まともに働いている社員のモチベーションが下がり、生産性の低下を招くこともあるでしょう。
また、正社員の雇用が手厚く保護されている現状は、若い人の正社員採用に影響を与えている側面もあります。
厚生労働省は、若年者の雇用を促進するために、新卒応援ハローワークやわかものハローワーク、サポステなどで就職支援を行っています。
また、政府から経済団体等に対する要請も行われており、学校卒業後3年以内の既卒者を新卒枠で採用するよう企業に呼びかけも行っています。
他の雇用形態と比べて給与面、待遇面でなど恵まれている正社員ですが、実際に働いていると”矛盾”を感じる場面もあるのです。
「20代・高卒フリーター」会社選びのポイント
20代の高卒フリーターが正社員を希望する際には、私の経験から以下の優先順位で会社を選ぶことをおすすめします。
- 労働環境
- キャリアアップの可能性
- 企業の業績や安定性
- 給与水準
①労働環境
「労働環境」とは、従業員が働く職場全体を指す言葉です。
具体的には、物理的な環境(明るさ、温度など)だけでなく、人間関係や仕事量、裁量権など、仕事に関わるすべての要素を含みます。
集中して仕事に打ち込むことができ、かつ能力が発揮できるのは、快適な労働環境があってこそ。
入社して初めて分かることも多々あると思いますが、インターネットや会社見学などで、できる限り事前の情報収集に努めましょう。
②キャリアアップの可能性
キャリアアップの可能性は、若い人にとって重要なポイントの1つです。
キャリアアップのためには、自分自身のスキルや能力を磨くのはもちろん、会社が提供する研修や教育制度を利用することも大切です。
大企業のほうが多様な職種や部署があり、キャリアアップの機会が多い傾向にあるのは確かです。
しかし職種や部署が限られているで中堅企業あっても、着実にスキルを磨くことで少しずつ条件の良い企業へとステップアップすることは可能です。
③企業の業績、安定性
若者が会社を選ぶ際には、将来的な成長性や安定性も重要なポイントです。
成長性が高い企業では、新しい技術やサービスを開発することで市場を拡大し、将来的な成長が期待できます。
一方、安定性が高い企業では、景気変動に左右されずに安定した経営を続けることができます。
安定感でいえば大企業ほど優位なのは間違いありません。しかし、高卒者がおもな採用対象である中堅企業にも、地道に利益を上げて安定している会社はあります。
腰を落ち着けて働ける会社に出会うまで、フットワーク軽くステップアップしていきましょう。
④給与水準
給与水準が4番目?そう疑問に感じた人もいるかもしれません。
これは私自身の経験による見解です。
少なくとも20代のうちは給料よりも、「身につくスキル」を基準に会社を選ぶべきだと考えます。
なぜならば、給料で会社を選んでしまうと結局「続かない」うえに「スキルが身につかない」という悪循環に陥るからです。
高卒20代で給料が高い職種といえば「営業」か「交替制の工場勤務」ぐらいなのが現実です。
性格的に営業に向き、好成績を上げられる人は営業スキルを極めるのも良いでしょう。
交替制の工場勤務を決して否定するつもりはありませんが、20代ならば別の道を経験するのをおすすめします。
私自身は20代の頃、興味があった「出版業界」にフリーターから飛び込みました。
まず経験した広告営業では、高収入を得られた時期もありましたが、性格的に向かず、編集局への異動を希望。
そこでの「記事を書く」経験が、現在の副業である「Webライター」、そしてサイト運営に活かされています。
ブラック企業には気をつけて
最後にお伝えしたいのは「ブラック企業には気をつけよう」という話です。
20代の社会経験が浅いうちは、自分の働く会社がブラックかどうかを判断するのは難しいかもしれません。
私自身もこれまで、いくつかのブラック企業を目の当たりにしてきました。
その経験に基づいた「ブラック企業の特徴」は下記の記事で解説していますので、参考にしてくださいね。
それでは、あなたのスキル磨き、就職活動の健闘をお祈りします。
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