この食品工場で働き始める際、まず初めに簡単な作業から任されました。
具体的には、ボトルに詰められた製品が冷却層から出てくる際に、出口で詰まらないように見張るのが主な役割です。この作業は一見地味に思えるかもしれませんが、製品がスムーズに流れるためには重要なステップです。
食品工場(大手関連会社)オペレーター歴18年。
現在も課長職として働く高卒・工場ワーカー。
過去に記者、IT関連営業など10を超える職種を経験。
現在は副業でブログ運営、Webライターとして活動しながら、定年後の”独立”をめざしています。
手作業が多い中小工場
今の時代、大手の工場ではほぼすべての工程が自動化されていることが多いです。
産業革命以降、機械の導入によって効率が飛躍的に向上しました。
特に日本は、技術大国とされ、自動化技術の先端を行っています。しかし、全てが自動化されているわけではありません。
特に中小工場では、人の手が関与する工程がいくつかあります。
そして、それが工場の個性や、社員間の一体感を深める要素となっています。
下流工程で機械トラブルが発生した際には、ボトルを一時的にコンベアから降ろす作業が必要です。
しかし、通常は非常に楽な仕事で、「これで正社員としての給料がもらえるなんて」と驚いたものです。
しかし、もちろんそれだけでは終わりません。
一定の期間が経過すると、機械の操作を学ぶことになりました。
シュリンクラベルが掛けられたボトルを梱包するケーサーや、その箱をパレットに積むロボットの操作を担当しました。
私自身、これまで完全に文系人間として生きてきたため、機械に関する基礎的な知識さえ持ち合わせていませんでした。
当初は、先輩が教えてくれることを見様見真似で覚えていく日々が続きました。
大きなけがは回避できたものの、小さなやけどや打撲はたくさん経験しました。
しかし、工場で働き始めて特に良かったと感じる点が二つあります。
一つは、家族との時間がしっかり確保できたことです。
サービス業に従事していたころは、平日休みが多く、子供たちの幼稚園や学校行事に出られなかったり、家族で出かける機会が少なかったりしました。
工場勤務に就いてからは、特に子供たちが小さい時に一緒に過ごす時間をしっかりと確保できた点が非常に大きかったです。
もう一つは、「収入の安定」です。
工場での仕事は、これまで私が経験してきた仕事の中で最も安定しています。
もちろん入社当初は不安もありましたが、毎年少しずつ確実に昇給するため、家族四人が地味ながらも暮らしていける基盤が整いました。
私の年収については、別の記事で詳しくお話ししていますので、興味のある方はそちらをご覧ください。
【高卒】工場勤務の年収、手取りはどれくらい?【給料明細公開】
「マイホーム購入」と「教育費」
高卒フリーターからスタートした私でしたが、何とか安定した生活を手に入れることができました。
しかし、ここから始まる大きな出費は避けて通れません。「マイホームの購入」と「子供の進学」です。
子供たちが大きくなるに従い、2LDKのアパートは手狭になり、新たな選択が迫られました。
賃貸でもっと広い所に移るか、ローンで家を建てるかという選択肢です。
当時、妻と相談し、迷うことなくマイホームを選択しました。
幸いにも、勤めている工場は数十年にもわたって安定した経営が続いており、地元の金融機関からの信用もありました。
そのため、入社6か月ほどでありながらもローン審査に通りました。
ただし、ローンは頭金なしの35年ローン。貯蓄する余裕などない状況でした。
住宅ローンは、たしか72歳まで支払う必要があったと記憶しています。
この点については、過度に不安にならないようにしています。
幸い子供たちは娘なので、最悪の場合家を手放すことも選択肢の一つです。
また、子供たちの進学も大きな出費の一つです。
長女はすでに大学を卒業し、社会人として働いており、奨学金は無利子で借りつつも使用せずにすみました。
次女は現在大学生ですが、自宅から通う国公立大学のため、何とか親の負担のみで済みそうです。
ところで、私も定年まで残すところ5年余りとなりました。
現在のところ、税金面を考慮し、定年後も62歳まで工場で働き続けようと考えています。
年金受給は60歳から可能ですので、その時の収入状況によって決めたいと思います。
5年後には年金制度も変わっているかもしれませんね。
いずれにしても、定年後も働き続ける意欲を持っています。
これまで「高卒工場勤務の底辺物語」と題してお話ししてきましたが、私はさまざまな仕事を経て工場勤務にたどり着きました。
世間では「底辺職」と揶揄されることもありますが、私は恥じたことはありません。
家族に対する責任を果たせることにほっとしています。
しかし、人生100年時代とも言われる今、50代でもまだまだこれからが楽しみです。
完
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